10月11日(日)12日の両日、岩手県北上市の北上総合運動公園で、定員を超える78名の参加を得て、第4回みちのくOPが開催された。
前日の公式練習では、土曜日ということもあり、多くのプレーヤーが練習ラウンドを黙々と行っており、この大会にかける意気込みの高さが感じられた。北上名物の一つである#1、#15、#16の池周りは、大幅な減水のためいつもとはまったく違う表情を見せており、より果敢なチャレンジを期待させるものとなった。
9日に台風18号の直撃を受けたものの公園自体に大きな被害はなく、多少のぬかるみと今まで水のなかった溝に水が流れた程度の影響にとどまった。大会は朝夕の冷え込みが厳しく、かなりの風にも悩まされたものの、2日間ともまずまずの天候に恵まれた。
アマ・アドバンスは、昨年の覇者杉渕がプロ転向したことで、実力者の野中、大島、塩原そして目下売り出し中の黒田らを中心に混戦になることが予想された。案の定1ラウンド目から1打を争う大混戦となり、3ラウンドを終わってトップの大島に1差で4人か続くといった按配。決勝では鬼門の#17をパーで凌いだ沼田と草野がトップに並び、プレーオフの結果、沼田が初優勝に輝いた。また秋田の佐々木(健)、東京の新鋭間根山の健闘が光った。
アドバンスレディースは関口の独壇場。ベテラン吉澤が追い上げを見せるが、一度もトップを譲らず昨年2位の雪辱を果たした。
アマ・マスターは、終始安定したスコアでラウンドした鈴木が、3ラウンドで好スコアを出した佐々木(智)を振り切り優勝。福島勢が上位を占めた。
アマ・グランドマスターは、白井(芳)が1ラウンド目こそ五十嵐にリードを許したものの、その後はトップを独走し貫禄の2連覇。2位にはラウンドごとに調子を上げてきた地元北上の菊池が入った。なお北海道ですっかり冬毛になった “鷹”さんが、久々に元気な姿を見せ皆と再会を喜び合った。
グランドマスターレディースは、三浦が女性アマ全体でも2番目になるすばらしいスコアで伊藤、西村を寄せ付けず優勝を飾った。
シニアグランドマスターは、ランキング上位の実力者が顔を揃え激戦となった。1ラウンド目原田が飛び出すも、その後ラウンドごとにトップが入れ替わり、3ラウンド目でトップに立った地元北上の斉藤が追いすがる宮本(順)を振り切って初優勝を飾った。
U16は地元北上の黒渕(修)が昨年のU13に続き優勝。きれいなスローが光る福留兄弟も最後まで健闘した。
プロ・グランドマスターは常勝六本木を誰が脅かすかが注目された。1ラウンド目金子が一歩リード。この時点で六本木にいつもの圧倒的なキレがないと見るや否や、皆目の色変えて勝負に打って出たが、終わってみれば結局2ラウンド目六本木がトップに立つとそのまま安定したプレーで連覇。#16に並々ならぬこだわりを持つ石原はついに決勝でこのホールでバーディを奪い2位に食い込んだ。桜井、大滝は決勝でグランマ魂を発揮し#17#18で撃沈。
プロ・マスターは、みちのく初参戦となる高山と実力者坂井の一騎打ちの様相。3ラウンド目で抜け出した高山がそのまま坂井を振り切った。3位には随所で好プレーを見せた吉村が入った。
プロ・レディースは白井(浩)、佐藤、稲見の三つ巴。結局白井がじわりじわりと差を広げて初優勝。佐藤と稲見の#17#18の出来によってはさらにもつれた展開になったと思われる。
オープンは今シーズン試合数の少ないディフェンディングチャンピオンの石原と昨年2位に甘んじた菊地の争い、そして飛ばし屋揃いの若手陣に川崎、江原の両ベテランがどう絡んでいくのかに注目が集まった。今回の菊地の集中力と技術の充実ぶりには目を見張るものがあり、石原も昨年以上の好プレーで追いすがったが、菊地に死角はなかった。2ラウンド目の49は驚異的であり、結局-28でホールアウトし、2位の石原に11差で大勝した。決勝残り3ホールで川崎に追いついた杉渕が#17でついに逆転して3位に入った。この決勝でいまだに余韻の残る好プレーがある。今大会で最も難易度が高いと思われる#17を3位タイで迎えた川崎は、先に投げた杉渕のディスクが110m先のドックレッグ状のアイランドに乗ったことを確認すると、一瞬躊躇した後、別のディスクに持ち替え、乾坤一擲、勝負に出た。刻んでパーで終わればもう勝ちはないと判断した結果であろう。いかに名手川崎であろうともあの決断は勇気がいったに違いない。見事成功したときの川崎のガッツポーズはそれを物語っていたと思う。
今年も北上マラソンそして競歩大会と同日開催という難しい状況であったにもかかわらず、プレーヤー各位のご協力により、事故や苦情もなく無事大会を終えることができた事に感謝いたします。また、弱体の岩手県協会の至らぬ点を、皆様に全て了解していただいて運営にご協力いただいたことに感謝いたします。最後になりますが、すばらしい会場を提供してくださった北上市、岩手県立翔南高等学校、そしていつも変わらぬ強力なご支援をいただいている株式会社ヒーロー様に心から感謝いたします。
TD 横田一平