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第1回から4回までのわが大会を振り返ると、コースにマンネリ化が感じられ、全国の仲間からのネガティブ評価もチラホラ届くようになっていた。いわく、鹿児島のコースはチャレンジするにはイージィ過ぎる。トキとカネを算段して鹿児島くんだりまで足を延ばす意義があるのか。
せっかく日本協会の公認を受けているからには、もっと魅力的な会場にしなくてはならないとの危機感から当協会は、コース改定に着手した。


プロコースは ①距離を長くする ②ハザードを多くする 
アマコースは従来どおり楽しんでもらう 
 そもそもディスクゴルフがアメリカで発祥したのは、インドシナ半島のジャングル戦で手を焼いた米軍の戦争体験に由来すると、私はひとり合点する。これは戦争ごっこなのだ。べトコンやパテトラオ、クメールルージュのゲリラに悩まされた米陸軍は特殊部隊(グリーンベレー)や海兵隊(マリーン)を投入して挽回を図った。山野を跋渉するうちに勝利の方程式を考えついたのであろう。自然条件を克服して金の羊毛(ゴールデンフリース)を獲得するのは生易しい業ではない。戦士たる者、弱音をはいたら命とりなのだ。♪山を越え、谷を越え、忍者が街にやって来る。ハットリくんがやって来る・・・♪ 伊賀流、甲賀流、根来衆が、エリコン、エグゾセ、タイタンを使って二百三高地、摺鉢山、マジノ線を攻撃する。守る方は外濠、内濠、武者返し、示現流で撃退する。八方敗れの最後はディエンビエンフーだ。
以上のような構図を念頭にプロコースの新設定を図った。

2日間のプレーを終えた今、①日本選手権に用いても良いコースだ。②難しい箇所の連続の合間に易しい所もあった方がいい(緊張の中にも安堵の場があるべきだ)、との二様の建設的忠告をいただいた。

 それではプロのオープン部門から経過をたどってみたい。(文中、選手名の敬称は略す)
プロオープンの部
準決勝を終えて決勝に残ったのは以下の4人。梶山学(福岡)206投、梶山能安(福岡)220投、白井一夫(東京)220投、福田孝一(愛知)220投。1位の梶山学は別格として、2位に3人が並ぶ。いずれ劣らぬ華やかな戦歴を有する、国内・海外の試合で優勝かそれに準ずる成績を挙げた、百戦錬磨・千軍万馬のキャリアを誇るこの4人、現在の日本ディスクゴルフ界に燦然と輝くきら星と言っても過言ではあるまい。それでも決勝9ホールを終えると厳然たる優勝劣敗の現実が待っていた。以下がその結果;
1位梶山学26投、2位タイ梶山能安31投、2位タイ白井一夫31投、4位福田孝一32投。

この部門の他の選手の準決勝までの順位は、5位長岡健太(東京)228投、6位タイ浜崎徹(福岡)232投、6位タイ横田浩(熊本)232投、8位江原隆夫(東京)234投、9位下川征巳(福岡)236投、10位長岡弘(福岡)242投、11位平林錠太郎(東京)251投、12位川﨑広道(宮崎)264投、13位小田洋平(福岡)292投となった。この群れも、決勝進出4人に拮抗するディスタンスとテクニックの持ち主であった。
 長岡健太と長岡弘は息子とその父親。登山界の英雄、三浦豪太と三浦雄一郎を彷彿させる。男子にとって、成人した息子と同じスポーツに興じ、同じ酒を汲めるとは何という至福の瞬間であろうか。住所は東京と福岡と違うが、今大会出場でサツマの地で再会が叶い、オヤジはムスコに及ばなかったが(それは世の習い)、この親子鷹は周囲の祝福と羨みを受けた。
 浜崎徹はしばらく公式戦に出ていなかったが、過日の九州オープンを制し、余勢を駆って鹿児島へ殴り込んだ。農家民宿ニャンバーワンにわらじを脱ぎ、猫を撫でて癒された後、本戦に臨んだ。
 横田浩はご存じ日本ディスクゴルフ協会事務局長。アルティメットのプレーと運営もナンバーワンの凄腕の持ち主。
江原隆夫は日本ディスクゴルフ協会の会長で、高潔な人徳と秀逸な実力で君臨している。風の便りに聞く。白井一夫はまぼろしの大会となった1980年のモスクワオリンピックの競歩の日本代表候補であったのだ、と。ことほどさように日本ディスクゴルフ協会は、会長江原隆夫、理事長白井一夫、事務局長横田浩のビッグスリーの参加で、本大会に彩を添えてくれた。下川征巳はガッツにも軸を移してきた。平林錠太郎はイキのいい江戸っ子ゴルファー。ディスク大会行われる所、都鄙を問わず積極的に参加し、イベントを盛り上げている。川﨑広道はマッチョ男にして信念居士。自己研鑽の姿勢は周囲を感動させずには置かない。小田洋平は無法松ばりの祇園太鼓の名手。
プロレディースの部
1位高木里香(福岡)269投、2位中川原友香(福岡)289投は日本女子プロの水準の高さを証明した。3位田中佐八美(福岡)428投はプロ2回目の登場、4位浜上和子(鹿児島)434投は、プロ初めての挑戦。田中は今後大幅な伸びしろを感じさせた。浜上は青息吐息でのラウンド終了、これが精一杯。
プロマスターの部
1位日高竜市(福岡)293投、2位高山幸司(兵庫)300投、3位太田健史(鹿児島)353投。日高は数ある余芸のなかで特に和食作りに秀でる。高山はローラーに絶対的自信を持ち、上り勾配を難なく転がす。太田はわずか1年のディスク歴でプロ部門に出るほどの実力を持つに至ったパワースローワーである。
プログランドマスターの部
1位工藤賢治(神奈川)264投、2位森省三(福岡)283投、3位田添寛(福岡)328投。工藤は愛知オープン2位の実績を引っさげての参加。森は福岡県協会の副会長。設営・運営・実技の異才は世間公知のとおり。田添は北九州ディスクゴルフクラブを切り盛りするやり手。
プロシニアグランドマスターの部
1位中川達也(佐賀)308投、2位吉田雅之(福岡)309投、3位安部真一(鹿児島)324投、4位梶山誠道(福岡)345投、5位田中昭男(京都)337投。中川は佐賀県協会の会長で、山野の植物に詳しい。吉田は福岡県協会の会長として、地元県はもとより九州各県の動静ににらみを利かしている。安部の成長率も著しい。競技歴2年で各地のプロ部門に出場する。梶山は、今を時めく日本のトッププレイヤー能安・学兄弟の父親。茶園経営ともどもディスクゴルフに入れ込んできた。田中は京都西陣織の老舗の大旦那。喜寿を迎えたが身も心も万年青年である。

続いてアマの部に筆を進める。
アマアドバンスの部
1位吉田興司(兵庫)78投、2位植村竜士(鹿児島)86投、3位持留慎吾(鹿児島)89投、4位タイ新内康雄(鹿児島)91投、4位タイ松原正明(福岡)91投、4位タイ元永瑞穂(山口)91投、7位赤池悠輔(鹿児島)98投、8位廣田直道(鹿児島)101投、9位石田康人(鹿児島)104投。吉田はもう一つの目標を達成したあと、プロでの出場を目指している。植村は鹿屋大隅法人会青年部長として活躍中。まもなく第2子の誕生を迎える。持留は過ぐる年、幕張メッセ大会で金メダルを獲得した本県の誇り。新内はディスクゴルフを鹿児島に初めてもたらした先駆者。松原はブーメランでも凄腕を持っている。元永は海の中道で腕を磨く有望株。赤池と石田は上薗輝典教諭の中学校勤務時代の教え子で、今年ディスクを再開した。廣田は今春高校を卒業し、大学進学後はアルテにも手を染めようと決意している。
アマレディースの部
1位濱中成美(山口)106投、2位松原あゆみ(福岡)110投、3位石田梢(鹿児島)119投、4位富岡弥生(鹿児島)129投。濱中は本大会前のバドミントン大会での優勝と併せての栄冠。松原は夫婦そろっての参加であるが、夫が手放しの喜びようだった。石田も上薗教諭の門下生、女性部でのニアピン賞に輝く。富岡は最近始め、夫の勇喜と並んでの成長株。
アママスターの部
1位渡正昭(東京)89投、2位川西由高(香川)101投、3位廣田直敬(東京)105投、4位富岡勇喜(鹿児島)107投、5位中道正(兵庫)118投。渡は鹿児島県在職中、吉野公園コース設立の原動力となった。川西は鹿児島観光を楽しんだ後、故郷でのお遍路を企画している。廣田は手八丁、口十丁のバイリンガル士。あやつる英語は一流である。富岡は大隅半島の未来を担う。中道はアドバンス部門の吉田と共に兵庫県のリーダーシップを握っている。
アマシニアグランドマスターの部
1位松元辰美(鹿児島)90投、2位義野正治(鹿児島)103投、3位藤本博行(山口)121投、4位持留潤一(鹿児島)129投。松元は少ない練習時間で栄冠を射止めた。義野は黙々と努力し実力をつけてきた。藤本は巧妙なローラー技術で長州志士の高い意気を示す。持留は民生委員として人々の信頼を集めている。
アマシニアグランドマスターレディースの部
 1位新村澄子(鹿児島)104投、2位田畑志保子(鹿児島)110投、3位永野冨美代(鹿児島)111投、4位井上準子(鹿児島)114投、5位松元ひとみ(鹿児島)120投。新村は週例会皆勤の結実。田畑はアキュラシーで世界記録を樹立し、テレビで全国に紹介された。井上はもう1つの競技ボウリングで本県代表として国体にも出場した。永野と松元は一卵性双生児で、多方面で切磋琢磨している。
アマレジェンドの部
1位松元文雄(鹿児島)93投、2位上原眞(鹿児島)99投、3位新村建治(鹿児島)116投、4位市来正史(鹿児島)117投。松元は右サイドスローがますます冴えてきた。上原は公民館活動の不可欠的存在。新村は、他のアウトドアにも造詣が深く、斗酒なお辞せずの大酒豪。市来は本大会の最高齢者。卓球、太極拳と趣味も広く人生を謳歌している。

本大会は1日目(1月26日)は、強風があり雪がほんの一瞬ちらついたが、何とか天候は回復した。2日目(1月27日)は前日とうって変わりポカポカ陽気となった。また、2日目に鹿児島大学のアルティメット部の学生がボランティアで来てくれて大いに助かった。
吉野公園あっての鹿児島オープンであった。沖静所長とスタッフの皆様に満腔の謝意を捧げます。
最後に、全国からご参集のプロ28名、アマ31名、合計59名の選手に心から御礼申し上げます。

鹿児島県ディスクゴルフ協会会長 浜上光生