定員72名のところ、全国ならびに友好国から76名という予想以上のご参加を得ての第1回鹿児島オープンは、2015年1月24~25日の両日、鹿児島市吉野公園の常設および特設コースにおいて開催され、無事打ち上げました。
これひとえに、天佑神助とも言うべき快晴微風の天候、JPDGA本部と協力県・市各協会の物心両面のご指導ご援助、そしてご参加の同士諸兄諸姉の心温まるご理解ご協力の賜物でありました。
紙上にて厚く御礼申し上げます。
さて2日間の大イベントを振り返り、コメントを加えることは主管団体の最終責任者たる私に与えられた重要かつ欣快なる業務となりました。もとより浅学非才の身、とりわけ当該競技の把握度は他に劣ることは百も承知の上で、筆を進めます。乞う、筆禍舌禍となる部分は平にご寛恕のほどを!
日程をたどれば、第1日目は開会行事並びにプロの第1ラウンドおよび第2ラウンドを実施しました。その後、プロ35名によるニアピンコンテストを敢行。ディスタンス100m先にある鹿児島県マスコットキャラクター・ぐりぶー目がけての投げおろしコース。優勝者は女子が加藤宏美選手、男子はヒョンドジャン選手。それぞれ賞品の焼酎とポーランドカップを獲得して幸せそうでした。
夜はホテルタイセイアネックスにおいて全国交流会。交流会場では、我ら鹿児島県協会の会員・NHKアナウンサー廣田直敬氏を司会者に得て、大いに盛り上がりました。
第2日目のプロアマ合同のコンペは、プロの第3ラウンドとアマの予選ラウンドとなりました。昼からはプロの準決勝ラウンド、アマの決勝ラウンドと進行し、その後、プロの決勝ラウンドが行われました。すべてのラウンド終了後、閉会行事に入り、表彰式で賞状・賞金・賞品をお渡しし、最後の記念集合写真撮影で大団円となりました。
さて、プロアマ各部門の経過と結果を記す時となりました。あえてアマから書き始めるのは奇をてらったわけではなく、過去の日本各地のオープンの所感がプロ中心でなされているのを旧套墨守ととったわけでもありません。考えるに、相撲においても歌舞伎においても、最後に登場するのが横綱であり、団十郎であります。千両役者こそが掉尾を飾るにふさわしいのです。したがって我らDisc golf 界のElite thrower 達は本稿ではFinal stage に登場します。それもCameo role だけに終わらせるつもりはありません。薀蓄を傾けて私が描写するthrower 達は、わが国Disc golf 界の花形役者なのです。それでは中味に入るといたしましょう。
アマの部
ジュニア
ひよっとすれば、この部門が実施されたのは日本で初めてではないだろうか。地元の14歳少年2名。11歳少年2名によって競われ、1点差で廣田選手が川村選手を振り切った。青木兄弟はさすがに兄が貫録を示した。弟も健闘し、参加する喜びいっぱいの態。
レジェンド
鹿児島県協会の会長である浜上がディスクに初めて接したのは1973年初夏、アメリカはカリフォルニア大学(UCLA)のキャンパス内においてであった。学生たちが、大きな円盤状の物体を投げては捕ったりして興じている。世の中にはこんなにも面白い競技があったか!と覚醒する思いであった。いま思えば、それはフリスビーというアルティメット競技用の大型ディスクであったのだ。それはさて置き、現実に話を戻そう。私がこれまでに参加した九州各地の大会で、このクラスで定員に達したことはない。したがって私は、自分より若い年齢のクラスで勝負してきたが、地元大会では当該クラスで戦うことになった。予選は1位で通過したものの、決勝ラウンドではキャリアわずか半年の松元選手に追いかけられ、冷汗三斗のうちに2点差の辛勝。市来選手はマイペースで雰囲気を楽しんでいる風情。
シニアグランドマスターレディースの部
出場者4名はすべて鹿児島県人。互いの手の内を知り尽くした者同士のプレー。田畑選手貫録の優勝。新村選手2点差で惜しくも2位。永野選手、松元選手は一卵性双生児で、ほとんど同じスコアで続く。
シニアグランドマスターの部
出場者5名中、4名は薩摩隼人。黒田藩からの梶山誠道選手は、ご存じ日本チャンピオン梶山学氏の御父君。生気あふれる容貌はさすがサラブレッドのルーツを顕現する。そのダイナミックな投法は、ご子息からもぎとったものなのか。新内選手、2点差で上原選手を振り切る。過去において、吉野公園コースでのホールインワン達成第1号の松元選手は、3位に甘んじる。新村・持留両選手は、育ちの良さが足を引っ張ったのかもしれない。
グランドマスターの部
山口・堺両選手は福岡から。渡選手は茨城から。上薗選手は地元鹿児島県人。山口選手が渡選手に1点差をつけて薄氷の優勝。本会場吉野公園のオリジナル設計者・渡選手の感慨やいかに?
マスターの部
親子鷹3組のうちの親が3名。すなわち川村選手、廣田選手、野間選手。中道・山城両選 手は、はるばる神戸市から。アルテにもゴルフにも手を染める二刀流の達人。川村選手が堂々の優勝。中道・廣田・山城の3選手は、歴史に残るほどの息詰まるサドンデス戦を展開。野間選手も親父の力量を発揮。
レディースの部
山口選手、間部選手は福岡から。残り6名は鹿児島勢。山口選手はアマの部総合で78投
という驚異的スコアでぶっちぎりの優勝。間部選手も残る鹿児島勢を抑えての2位。鹿児
島勢の福村選手、両上薗選手、網屋選手、岩下選手、山田選手も大健闘。
アドバンス
近畿勢(兵庫・大阪)対鹿児島勢の戦いとなる。吉田選手は予選・決勝両ラウンドともに着実な得点で余裕の優勝。持留選手の準優勝は、幕張メッセ大会でも発揮した実力の証明。八木選手の3位は大阪のレベルの高さを示す。川原選手、山田選手、紀選手は鹿児島大学のアルティメット部の精鋭部隊員。吉水選手は初めての参加で大いに啓発された模様。
プロの部
グランドマスターの部
東京からの諸岡選手、悠々たる優勝。岩手からの横田選手は最北の地からの参加。旅の疲れを感じさせない堂々の2位。大島選手(茨城)は、森選手(福岡)と組んずほぐれつの激闘。福岡の吉田選手、佐賀の武藤選手ともに坦々と得点を重ねる。木宮選手(東京)の喜々として投げる姿は、この競技への醍醐味へといざなってくれる。ローラーの使い手・藤本選手(山口)は、勇躍プロの部で出場し、長丁場を闘い抜く。佐賀からの2大強豪の中川選手、中山選手が都合で2日目をキャンセルしたのは、後ろ髪ひかれる思いであったろう。
マスターの部
日本のディスクゴルフ界の名門江原家の御曹司・隆夫選手は、原籍アメリカの名手アンディペインタ―選手と丁々発止と切り結び、遂にこれを降す。さすがというべきか。それにしてもアンディ、「裏返しパッティング」のパフォーマンスは鹿児島のジュニア選手の驚嘆のまなこを引き出した。昼夜を問わずの存在感は貴重である。これが日本代表選手としてアメリカに錦を飾るゆえんであろう。江戸からの平林選手(3位)・並びに藤原選手(5位)は、みやこの匂いいっぱいの妙技を薩摩に届けてくれた。野中選手(4位)、日高選手(7位)、田添選手(8位)の3選手は九州の先進地福岡の風を伝えてくれた。6位西薗選手は今は逼塞の時にあるが、将来は鹿児島の天下を取る人材である。
レディースの部
ディスタンス競技元日本チャンピオン岩崎選手(福岡)と、ひこにゃんの地からの加藤選手(滋賀)は息詰まる戦いを続け、最後に笑ったのは岩崎選手。この戦いに福岡からの塚本選手、シナキム選手、中川原選手が、そして東京からの渡邊選手、木宮選手がしっかとからみつき日本の女子レベルの高さを証明した。更に木宮選手は撮影でも本領を発揮した。オープン決勝のビデオは、木宮選手の成した大功績である。
オープンの部
本大会の1週間前、台湾・高雄市で開かれたアジアオープンを制した、梶山選手(福岡)を中心に10名で戦われた。同選手は206投で予選から決勝まで余裕のラウンドを展開した。
予選第1ラウンドで首位と同点の神奈川の望月選手は、福岡の浜崎選手とデッドヒートを演じ結局3位。浜崎選手の後半の追い上げは出色であった。同じく予選第1ラウンドで、
東京の青木選手は、首位に2投差という好調のスタートを切ったが、準決勝1投差で決勝進出ならず。4位高橋選手(新潟)の準決勝での24投はオープン出場10名中のトップ。本大会開催最高責任者の横田選手は、運営に気をもみながらも、変わらぬ実力を見せつけ堂々の6位。韓国ソウル近郊出身のヒョンド選手は、豪快かつ繊細な技を披露した。植村選手は、鹿児島県の次代を担うホープで、最近の民放テレビの取材では、そのイケメンの容姿で鹿児島県女子の憧憬の溜息を誘った。北九州市からの小田選手は、過ぐる阿蘇オープンで、たった一人ホールインワンを達成し、観客に強烈な印象をたたき込んだが、その偉業を鹿児島オープンでは再現しなかった。ことほどさように、エースを出すことは至難の業なのだ。沖縄代表川﨑選手は、準決勝段階で首位と47投差の10位。それでも私は、その敢闘精神をあっぱれとする。ディスクにおけると同様、抜群の行動力は、東日本大震災への迅速なボランティア活動、また阿蘇オープンでの谷底に単身下降しての何10枚もの他人様のディスク回収行為に示されたように、他の追随を許さぬものがある。
最後に身内に言及したい。鹿児島県フライングディスク協会理事長・有川満は、今回の行事を円滑に進めるため完全に裏方に徹しました。自分も投げたいという欲求を鎮めるのに苦労したと思います。妻和子は、事務局長として覚えたてのパソコンを必死に操作しつつ、全国との連絡に遺漏の無いように努めました。
県立吉野公園所長・沖静氏は、大会開催にあたっての私どもの無理難題に100%の誠意で応えてくれました。誠にお世話になりました。
鹿児島県ディスクゴルフ協会会長 浜上光生